みゃーけさんのブログ  2020.10.01 人類は地球の生態から見ると害虫か病原菌か?

立花隆さんは、小難しいテーマについて徹底した調査をもとに考察して論ずる評論家であり、「知の巨人」として知られる。「NHKをぶっ潰せ」とか訳の分からないことをいっている立花孝志氏とは、言うまでもなく別人である。その立花隆さんの処女作である「思考の技術・エコロジー的発想のすすめ」という50年前の著書が再々刊され、この本を手に取って読み進めた。全く古臭さは感じられず、むしろ今まさに人類が直面している課題について書いておられるのに驚いた。
地球上の自然や生物の世界、つまりバクテリアの小さな生態からアフリカのジャングルなんかの大きな生態系を含めた生態がそれぞれのエコロジーである。人類は生き残るために周りの生態にある無機物や有機物、生物などを利用し適用して進化してきた。しかし、現代になりこのエコロジーシステムを破壊する気候変動や生物食物連鎖、エネルギー収支の乱れなんかが想像以上に大きくなって、地球エコロジーを悪化させている。立花先生は50年前に警鐘を鳴らしていたのだ。当時の人間の数は36億人だったが現在は70億人に迫っている。空気中のCO2濃度も400ppmを超過して気候変動も身近に感じられるようになった。

今人間界は重苦しいコロナ禍で、人間エコロジーの中にエゴの醜い部分や逆に立ち向かおうとする勇気も見られるが、アフターコロナには「グリーンリカバリー」によって、少しずつでもビフォワーコロナよりもよい環境の方向に転換しなければいけない。日本も欧米の動きに敏感になって環境問題に本腰を入れなければ、50年後の生き残りが危うくなるかもしれない。20世紀から続く、化石エネルギーの使い放題、化石原料も使い放題、使いっぱなしでは自然からもっとひどいしっぺ返しが襲ってくるような気がする。今からでも、少しずつでも人類はものの見方・考え方を変えていかねば、生態から排除される存在になり自滅するしかないかもしれない。
この「思考の技術」(中公新書ラクレ)は、私の座右の書となるだろう。著者の立花隆氏(80)は数年前からガンの闘病生活に入られているが、ぜひまたテレビでお顔を拝見したいものである。

2020年10月 三宅 仁

ここから当社のコマーシャル

エネルギーのCO2問題はさておき、アイ-コンポロジーの事業分野であるプラスチック材料についても、天然植物資源を利用したプラスチックや生分解プラスチックの開発や利用促進にもっと力を入れたいと思います。現在、100%海水中でも生分解する面白いプラスチック材料をめざしてつくりました。詳しくは、「海洋生分解性バイオマス複合プラスチック材料」のページをクリックしてください。

皆様の声のご支援だけでなく、経済的なご支援もいつでも受け付けております。

【バイオエコノミー】について

2012年に欧州委員会で決定された「バイオエコノミー」は、環境負荷の小さい材料の開発を推進し大きなイノベーションにつなげて、産業も変えてしまおうという大転換です。日本も早く目を覚ましてヨーロッパの後追いでもよいので、科学技術と産業の転換に切り替えるべきなのです。何でも安価なものに飛びつく「損得エコノミー」「しらんぷりエゴ」から、真の価値を見極める「環境エコロジー」への賢いエコ選択に向かうべき時なのです。

アイ-コンポロジーは、木粉とプラスチックからできたウッドプラスチックで半分生分解性と植物由来原料化を実現してきましたが、今年、たいへん困難とされる海水での生分解性の材料をつくりました。もちろん当社の得意とする天然バイオマス成分が入っています。海のプラごみ問題で課題となっているマイクロプラスチックは残さないで分解します。また、バイオマス度(原料の植物由来率)が87%以上と高く、燃やしてもCO2の発生はカーボンニュートラルによりほとんどゼロになります。一般的に海洋生分解性プラスチック材料は成形性がよくないとよく言われますが、当社開発の材料は通常の射出成形で簡単に成形できます。多くの成形屋様で射出成形試作を行っていますが成形性は問題になっていません。今後ほかの成形法に適した材料をめざして多くの用途で使えるよう開発していく予定です。

(参考)【バイオエコノミーBioeconomyとは】

「バイオエコノミー」の意味はごく簡単に言うと、「再生可能な生物資源・循環型資源を活用して、食品・飼料はもとよりエネルギー・プラスチック・工業材料その他の付加価値製品に変換する、これを行うことで科学技術進化と産業化のイノベーションを大規模に行うこと」

ヨーロッパ委員会(EC)で2012年から大真面目に提唱され、欧州各国で長期のマイルストーン計画をつくって本格的に進められている。2050年にエネルギーを含めてCO2排出ゼロにすることを大目標にしている。2015年末のパリ協定もその一環。

Bioeconomyについて、ぜひ下記の資料やHPを見てください。

  1. 五十嵐圭日子「バイオエコノミーによるゲームチェンジを私たちはどう受けるか:欧州の動向に対する一考察」、JBAバイオサイエンスとインダストリー, 75,4,344(2017)
    https://www.jba.or.jp/jabex/pdf/2017/BandI75-4_Series_bioeconomy_2.pdf
  2. 欧州委員会
    https://ec.europa.eu/research/bioeconomy/index.cfm