今夏、電話口のあいさつが「生きてましたか?」「お蔭さまでなんとか・・」が挨拶になり、「この夏は生きてきた中で一番暑いな」と96歳になる母が言った。皆様もここのところの気候変動について身をもって感じておられるでしょう。
私は関東に住み始めて45年になるが、セミの鳴き声が”ミーンミンミン”から”ジャージャージャー”とうるさいクマゼミ主体になっていることを知る。私は岡山県宇野という風光明媚なところで育ち、夏休みといえば朝のラジオ体操の後は虫捕りが日課であった。小学生低学年の時にはミンミンゼミも少し鳴いていたが、高学年になるとクマゼミが大きく幅を利かせミンミンゼミは砂の中のダイヤモンド同様の珍種となった。関東に住んでからは、日の出時からのうるさいクマゼミの声から解放され、情緒ある(個人の感想です)ミンミンゼミの声で夏を感じていたが、ついにクマゼミが席巻する事態に突入したのである。昆虫世界の環境変動による「セミ民族大移動」だろう。
海藻/海草(生物学的には繁殖方法が違う)の世界も、海の中で大変化が起きている。私達が食するワカメ・ヒジキ・クロメといった海藻は、ほとんど養殖モノとのこと、天然モノはイスズミ・ニザダイ・アイゴといった元は南の海にいた海藻を食べる食害魚が、次から次へと食べ尽くしているという。こいつらは(本人(魚)たちには罪はない)、既に津軽海峡まで北上しているらしい。これは環境DNA分析という手法で分かっていると東北大学の近藤教授が仰っていた。さらに海水温度上昇により、三陸でもタイやフグが獲れるらしい。旨い魚が獲れるならよいだろうと素人は思うけれど、地元の漁師にとっては長年の習慣が狂うので調子が出ないようだ。
事程左様に気候変動は自然界に容赦なく襲いかかるが、人間たちは為すすべなく防御一辺倒で過ごすしかないのである。私を含め高齢者はなんとか屋内の冷房の効いた中で時が過ぎ去るのを待つことで夏を乗り切っているが、屋外での仕事の方々はどうされているのか、救急隊員の方々の苦労にも思いを馳せる。
国連IPCCでは二酸化炭素濃度上昇が原因と主張するが、どうやら太陽活動やら火山噴火やら都会ヒートアイランドやらメタン濃度やらの諸原因が絡み合っていると考えた方がよいだろう。太陽黒点活動は11年周期だし約40年周期で放射熱変化も観測される。二酸化炭素排出は人間が最も関与する確かな問題であるからこそ人類が対処すべき問題だが、人知の及ばない太陽や火山活動は、神でない限り制御しようがない。
人間界でやれることを浅薄な考えと言われようと地道にやっていくこと、精いっぱい生き延びていくことが、現代の人間に課せられたことなのかなとこの夏に感じた。宗教がかってますかな?
2024年8月 三宅 仁
今アイ-コンポロジーが開発・製造している「Biofade」「i-WPC」はカーボンニュートラルを重要視した商品である。特にBiofadeはバイオマス由来度が高く生分解性が優れるという特長がある。なにか後世に残せる良い技術を作りたいという願望だけで、これまで走ってきたのだが、日本の世の中がやっと欧州の尻尾を視野に入れたところで、まさに日本の夜明けがちらっとみえたところである。早く頼りになる次のランナーにバトンを渡したいとも思う。日本人よ、夜明けだ早く起きなさい。