みゃーけさんのブログ  2023.04.05 どうする、開発継続の判断

昔のソニーからは面白い製品が次々に生まれ、それを真似た他社製品が次々に世に出たことを知っている年代の人は少なくなってきた。Walkman、CDプレーヤー、MDプレーヤー・・。同時代に出てきたのがご存じApple社で、Macintosh、iMacの懐かしいパソコンのあと、現在までiPhone、iPad、iWatchと立て続けに新商品を世に出した。日本は目立たないが基礎部品分野で画期的な製品が出ていると聞くものの多くは知られていない。何か世界に衝撃を与えるモノが出てほしい。それが燃料電池車なのか核融合発電なのか人工光合成なのかは分からないが、多くは欧米のレギュレーションに左右させられることが口惜しい。

日本の大企業ではほぼすべてに研究開発部門が存在するが、継続的に成果を出すことは千三つといわれるほど難しい。千が十に絞られても、どこの会社も研究テーマ継続の可否判断をどの部署の誰がするのかが問題なのである。利益を上げる成果は継続することは当然とみられるが、何年後かに利益を出す技術はもとより社会に寄与する見えない技術開発を見極める能力、すなわち「目利き」ができる上層部の人間はたいへん珍しい存在なのである。企業ではさらに上からの圧力や周辺部署からの圧力がモノを言い、GOorSTOPの判断で研究開発者はやる気を起こすか気力を失うかの憂き目に遭遇する。かくいう私も現役時代にはその憂き目のひとりであった。

私の少ない経験から物申すと、STOP判断の場合には理由をはっきりさせ、どう立て直せば良いのか逆転の発想を考えさせる猶予が必要で、GOにせよSTOPにせよ研究開発者にとって次の動機になりうる。さらに前進している開発テーマで、上層部で人事異動により偉くなった人が、前任者が継続していたテーマを理不尽にも切ってしまうということがあったが、直下の部門長はそれに反論したところで押し切られてしまう。大変な金銭的損失であるだけでなく、それまで粋に感じて開発していた人間はハシゴを外されたとしか思えないのである。見えない能力や人的損失は甚だ大きい。それに関わっている当事者は、ヒトからいわれなくてもやっていることに先があるとかないとか大体感じているものなのである。

今の企業で実際の所は分からないのであるが、いつの時代も「やらされ症候群」「指示待ち症候群」は存在する。こういう人は時間に流され、いつのまにか不平不満が蓄積し、ゆくゆくは「定年うつ」になりやすいという。自慢ではないが、幸運にも私の場合これはなかった。ある程度自分から仕事を作り行動し、リタイア後にやりたいことを具現化したためかもしれない。つまり今の会社起業につながったのである。

人は何のために生まれてきたのか、ある人は、生涯は「遊び」のためといい、仕事も制約のある「遊び」と考え、死ぬときに悔いを残さないのが目標といった。「遊び」であるから他人からの干渉は極力受けない、自分の考えることを現実化していくことに喜びを見出す。私もあやかりたいものである。生きるということは死に近づいていることに他ならないのだから、与えられた日々を生涯が尽きるまで精いっぱい遊ぶことなのかな。

108歳まで生きた木彫家の平櫛田中さんは、次のように残した。

「いまやらねばいつできる わしがやらねばたれがやる」

「六十七十ははなたれこぞう おとこざかりは百から百から わしもこれからこれから」

読んでいる方もぜひ噛みしめて戴けたら幸甚に存じます。

 

2023年4月               三宅 仁

今アイ-コンポロジーが開発・製造している「Biofade」「i-WPC」はカーボンニュートラルを重要視した商品である。特にBiofadeはバイオマス由来度が高く生分解性が優れるという特長がある。なにか後世に残せる良い技術を作りたいという願望だけで、これまで走ってきたのだが、日本の世の中がやっと欧州の尻尾を視野に入れたところで、まさに日本の夜明けがちらっとみえたところである。早く頼りになる次のランナーにバトンを渡したいとも思う。日本人よ、夜明けだ早く起きなさい。