出でよ、令和の後藤新平!
後藤新平といえば東京市長だった人で、大正12年の関東大震災のあと復興院総裁として東京を立て直した立役者で、「大風呂敷」と呼ばれました。先日引張り出して読んだ竹村公太郎さんの本に後藤新平さんのことが書かれていました。大正10年以降に日本の乳児死亡率が劇的に下がったのですが何故なのか。竹村氏の考察では、衛生学を修めていた後藤新平が、日露戦争に備えて製造し使われなかった毒ガス兵器の液体塩素(現在の保土谷化学が開発)を平和利用として上水道の殺菌に転用したことがその理由ではないかと推定していました。乳児死亡原因トップの赤痢の予防に役立てたようです。
時代をさらにさかのぼって明治28年、日清戦争のとき戦地でコレラが大流行していたそうで、復員兵23万人に対してたった2か月間で隔離検疫作業を指揮したのも、後藤新平だったそうです。当時は考えられない難事業だったようです。
いま日本で新型コロナウイルスによって全国民の生活様式が変化しています。欧米をはじめ世界ではもっと悲惨なことになっています。世界各地でワクチン開発が考えられないスピードで行われていますが、すでに欧米各国では12月に承認され接種が急ピッチでスタートしています。日本はというと、治験が急ピッチで進められているそうで2月には承認される見込みと聞きます。その中身の治験人数は160人だそうで、過去に人種や年齢等の異なる数万人の治験を経たワクチンを日本人とはいえわずか160人の結果をみて国が承認するということを読み目を疑いました。この2・3か月のタイムラグでおそらく数千人の方が亡くなるはずです。厚生労働省の人も精一杯やっておられると思いますが、安全性の名のもとに「あつものに懲りてなますを吹く」状態に陥っているような気がしませんか。
さらにワクチン接種を16歳以上の1億2千万人の国民にどうやって短期間にあまねく接種するのか、途方もない作業になります。接種の順番や稀に起きる副作用にエゴむき出しで目くじらを立てるマスコミの様子が目に浮かびます。ここら辺が日本人の見せ所になる気がします。河野太郎さんがこの難事業の担当大臣に指名されたとのことですが、令和の後藤新平になれるか、それともただの人だったか、ぜひ前者になってほしいと心から願います。
たぶん多くの国民からSNSで誹謗中傷が殺到するはずですが、信念の人になってもらいたいと期待します。後藤新平のときはSNSがない時代で、上官の児玉源太郎が事後に苦情手紙の山をまとめて手渡したそうで、つまり苦情を抑え込んでいたわけで、度量の広さが分かります。令和の時代はそうもいきませんかね。
2021年1月 三宅 仁
【ここから当社のコマーシャル】
エネルギーのCO2問題はさておき、アイ-コンポロジーの事業分野であるプラスチック材料についても、天然植物資源を利用したプラスチックや生分解プラスチックの開発や利用促進にもっと力を入れたいと思います。現在、海水中でも生分解する面白いプラスチック材料を創っていろいろな製品にトライしています。
皆様の声のご支援だけでなく、経済的なご支援もいつでも受け付けております。
【バイオエコノミー】について
2012年に欧州委員会で決定された「バイオエコノミー」は、環境負荷の小さい材料の開発を推進し大きなイノベーションにつなげて、産業も変えてしまおうという大転換です。日本も早く目を覚ましてヨーロッパの後追いでもよいので、科学技術と産業の転換に切り替えるべきなのです。何でも安価なものに飛びつく「損得エコノミー」「しらんぷりエゴ」から、真の価値を見極める「環境エコロジー」への賢いエコ選択に向かうべき時なのです。
アイ-コンポロジーは、木粉とプラスチックからできたウッドプラスチックで半分生分解性と植物由来原料化を実現してきましたが、今年、たいへん困難とされる海水での生分解性の材料をつくりました。もちろん当社の得意とする天然バイオマス成分が入っています。海のプラごみ問題で課題となっているマイクロプラスチックは残さないで分解します。また、バイオマス度(原料の植物由来率)が87%以上と高く、燃やしてもCO2の発生はカーボンニュートラルによりほとんどゼロになります。一般的に海洋生分解性プラスチック材料は成形性がよくないとよく言われますが、当社開発の材料は通常の射出成形で簡単に成形できます。多くの成形屋様で射出成形試作を行っていますが成形性は問題になっていません。今後ほかの成形法に適した材料をめざして多くの用途で使えるよう開発していく予定です。
(参考)【バイオエコノミーBioeconomyとは】
「バイオエコノミー」の意味はごく簡単に言うと、「再生可能な生物資源・循環型資源を活用して、食品・飼料はもとよりエネルギー・プラスチック・工業材料その他の付加価値製品に変換する、これを行うことで科学技術進化と産業化のイノベーションを大規模に行うこと」
ヨーロッパ委員会(EC)で2012年から大真面目に提唱され、欧州各国で長期のマイルストーン計画をつくって本格的に進められている。2050年にエネルギーを含めてCO2排出ゼロにすることを大目標にしている。2015年末のパリ協定もその一環。
・Bioeconomyについて、ぜひ下記の資料やHPを見てください。
- 五十嵐圭日子「バイオエコノミーによるゲームチェンジを私たちはどう受けるか:欧州の動向に対する一考察」、JBAバイオサイエンスとインダストリー, 75,4,344(2017)
https://www.jba.or.jp/jabex/pdf/2017/BandI75-4_Series_bioeconomy_2.pdf
欧州委員会、https://ec.uropa.eu/research/bioeconomy/pdf/eu_bioecnomoy_apartment_katalog.pdf